入り口


朝、いつもの天井スレスレのベッドで僕は目を覚まし、

その目の前スレスレの天井に小さな割れ目を見つけた。


興味をそそった入り口たちは、

こんな具合に、入っていけるかいけないかギリギリの割れ目みたいなのが多くて、

今まで僕はそこをこじ開けて突き進んでいくのが実は怖くて、

それを「保留」と濁して逃げていたのかもしれん、

と、壁の割れ目を眺めていた。



ふと気がつくと頭の中に、置き去りにした入り口たちがどんどんカムバックしてきて、



挙句の果てには


「掘り進め~よ、掘り進め~よ」


と、なんとも陰鬱な調子で説教を垂れてきて、

僕は歯痒い悔しい想いでいっぱいになり、

思わず布団の中に逃げ込んだのでした。