07/10/01 "音楽論" 授業後小レポート 

「レコードとCD」


 授業で登場した蓄音機。生で観て、生の音を聴いたのは初めて。(多分)
レコード自体は、ヴァイオリンの先生の家や、友人のDJセットの上で回るの観る
機会が多々あるけど。


 人がアンティークに惚れ込むのは、アンティークがそれを使う人々にその時代の
情景を思い起こさせ、まるで自分がその時代へタイムスリップしたかのように
思わせる力があるからだと思っている。


 実際に、祖父の家にある年代物のロッキンチェアーに深々と座り揺られていると、
時間を忘れ自分が観たこともないはずの時代に入り込んでいくが出来る。
なんとも心地がいい。


薄暗い教室の中央に蓄音機を見たときも、そんなことを思いながら
先生が早く音が流すのを待っていた。


授業では、

「聞き比べる」

という目的で

レコード+蓄音機から出てくる“新世界”、
CD+BOSEのスピーカーから流れる“新世界”、

を順番に聴いた。



 音が綺麗(クリア)なのはもちろんBOSEのスピーカー
一流のオーケストラを特等席で聴いてるような聴き心地だ。
しかし、あくまでも聴き心地で生演奏を聞いているわけでは
ない事が、頭の中に前提としてある。そもそも、実際こんなに
各パートの音までハッキリ聞こえてくる事はないはず。

 一方、蓄音機の方はというと、音は篭り、、安っぽく割れる事もあり、
いかにも白黒映画のBGMのような音色。

しかし、こちらには何故かリアリティを感じた。

 
 音はクリアじゃないけど、生演奏を遠くで聞いてる感じがした。
もしくは、古箱の中で実際にオケが演奏をしていて、
それを覗き見しているような感覚だった。
どうしてだろう。


最後まで考えていて、結局ハッキリしなかったが、

たぶん、かすかなノイズが向こう側のざわめきに聞こえたり、
クリアすぎない事が逆に嘘くさくなかったり、

そんな理由から、頭の中で蓄音機から流れてくる新世界を現実として処理したのではないかと思う。


・・・という答えはあまり好きではないので、(そもそも正しいかもわからないけど)


多分僕は、例によってアンティーク(蓄音機)の力でタイムスリップして
昭和のお茶の間で蓄音機に群がる家族に混じってとして、箱の中から聞こえてくる音楽に耳を傾け、不思議ながらも「きっとこの箱の中で演奏してるに違いない」

っていうところまで、入り込んでしまっていたのだと思う。


妄想は現実化する!
             by ナポレオンヒル(?)


とにもかくにも、

BOSEのスピーカーにはやりすぎた臨場感。

古ぼけた蓄音機には魔法がかったリアリティ。


音色としては僕はどっちも好き。

                                                                        • -

余談 本物じゃないって分かってるの時に本物に近づけた物をみる人間のフィルターは、時にめちゃくちゃ分厚い、と思った。