三位一体モデル
- 作者: 中沢新一,ほぼ日刊イトイ新聞,赤瀬川原平
- 出版社/メーカー: 東京糸井重里事務所
- 発売日: 2006/11/01
- メディア: 単行本
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なんていうか、この本の内容が、実世界で役に立つとか立たないとか、もしくは役に立てられないとか、それに関係なく、
「これは読んどいて良かったな」
と思った。
概要
キリスト教のドグマである三位一体は、神を「父」「子」「霊」の3つを含んだ1つであると定義している。
- 「父」は普遍的・絶対的なもの
- 「子」は父から生まれる。父の性質を受け継ぐもの。
- 「霊」は増殖・発散するもの。
キリスト教にたとえれば、神は「父」であり、その意思を受け継ぐ「キリスト」がいて、信者が広まる「霊」
これ全部含めて神らしい。今「神」は「父」って言ったあたりが、若干矛盾というか、正直僕も良くわからんのだけど。
とにかく、それらを3つの円で表したモデルを現代社会の諸事象に当てはめて、起こっている問題を読み解こうという話。
銀行にお金を預けて利子がくる
本来貨幣は神と現実の世界を結びつける記号でしかないのに、
貨幣の価値が増殖するということは、神の本質が増殖することになり、
一神教からすると、神は唯一だからあり得ない解釈となる。
キリスト教も一神教だけど、いろんな議論の果てに、神の本質に「増殖」を加え、
それで西欧から資本主義が発達したといわれている。
ちなみに、イスラム教はこれを認めなかった。
価値が増殖する社会
資本主義が発達した現代では、価値の増殖はいろんな場面で起こっている。
広告、メディアなどが目に見えてわかるけど、とにかく価値を増殖させている。
本の中で何度も出てくるこのフレーズが結構気に入って、当たり前といえば当たり前なんだけど、聞いたことがない言い回しだったのと、それをいろんな事に当てはめていく過程が凄い気持ちよかった。
霊の合理化
本来増殖というのは、人が操れないものだったから、三位一体モデルのバランスが取れていたけれど、現代では、上に挙げたように、いくらでも増殖装置を操ることができる。
これがつまり合理化であり、資本主義のキーワードとなっている。
しかし、合理化に着目しすぎて、その過程で切り捨ててきた事で、本来大事だった事なども失われて、これすなわち、三位一体モデルのバランスが崩れているということなのだろうと思った。
早い話、デジタルにするときに、アナログから1点ずつ抽出するから、点間が抜け落ちて、本当はそこにも別の用途では活きてくる大事な情報がありました、みたいな感じかな。
だんだん話がぐちゃぐちゃしてきたから、とにかく具体的にいろんなのに当てはめてみると
例えば、スポーツ。
- 「ルール」が「父」
- 「選手」が「子」
- 「メディア」や「客」が「霊」
広告。
- 企業理念が「父」
- クライアント(会社が「子」
- 広告代理店が「霊」
予備校。
- 「合格・喜び」が「父」
- 「予備校」が「子」
- 「教師」が「霊」
こんな感じで、三つの円の中に単語を入れていく。
それでこの3つのバランスが上手くいっていることを、理想の状態という。
でも、これって、同じ事象に対しても、いろんな解釈があって、絶対的な答えはないと思う。
そうすると、めちゃくちゃ意味がなくなってしまうんだけど、
とにかく、
3者の関係を常に意識する
って言うことが普遍的な肝かな、って思った。
早速三位一体モデルに突っ込んでみると
- 「三者」が「父」
- 「三位一体モデル」が「子」
- 「それを考える人」が「霊」
総じて、
普段人はいろんな物事を2者で考えてしまいガチなんだと。
「音楽」と「自分」、「成功」と「自分」、「家族」と「自分」etc....みたいに。
だけど、実はかけているけど大事だったりする要素がもう一個あって、
それに気づくために描くのがこの三位一体モデルなのだと思う。
なんか行き詰ってるときとか、常にどっかで意識していたい思考ツールだな。
そんなわけで、一読の価値あり!!